見た目、印象は帽子ひとつで大きく変わります
ツイードの帽子ブランド「HATMAN OF IRELAND」の
おしゃれなツイードバケットハットはかぶるだけで雰囲気を変えます

ツイードバケットハットはどのようにして生まれたか

ツイードの歴史

「Free&Easy」 2013年12月号参照

18世紀のスコットランド、南東部のスコティッシュ・ボーダーズを流れるツイード川。

流域に暮らす農家はこの河畔に生息するチェビオット羊の毛を夏に剪毛。
秋になると農家の妻が自家で紡ぎ、夫が冬の農閑期にその糸を使って2対2の斜分組織に綾織りした織物が「ツイード」の始まりだと言われています。

草木染めの糸で紡いだ紡毛糸を、手作業によって経糸、緯糸各4本で構成される4枚斜分組織に織り上げられているのが特徴。

その手触りは非常に粗剛であり、縮絨や起毛を施していないことから織り目がハッキリしている。

時を経てこの上質な紡毛織物はロンドンでも販売されることとなった。

ツイード川流域の生産地では、織物に特別な名前をつけず、単に「フォーリーフツィル」(4枚綾)と呼んでいた。

ところがロンドン在住の仲買人が商人宛てに送り状を書く際、生地商品名として書いた「ツィル」を「ツイード」と誤って綴り、受け取った商人が川の名前と混同して「ツイード」と織物名にしたのが語源とされています。

ほぼ同時期、アウター・ヘブリディーズ諸島のハリス島でも、島に生息していたブラックフェース種の新毛で織る「ハリスツイード」が誕生します。

ツイード川流域では農家の副業的に発展したが、ハリス島では島に暮らす漁民が自分達の漁労服用に作った織物として始まり、厳しい気象条件に影響を受けやすい漁民の生きる糧として歴史を刻むことになります。

18世紀半ばまで、羊毛の刈り取りから縫製に至る工程は、自家内で手作業によって行われていたが、アウター・ヘブリディーズ諸島ではいまもなおこの伝統的な方法によってツイードが生産されています。

ツイード川やハリス島に続き、アイルランド北西部のドネガル州では「ドネガルツイード」、スコットランド北端のシェットランド島では「シェットランドツイード」の生産が幕を開け、20世紀に入ると、ローカルでは賄うことのできないほどの注文が世界中から届くようになりました。

こうして需要が拡大してくると、地産地消の色合いは薄れ、「ツイード」は原材料不足の補てんや生産効率向上のため、別の地域の羊毛を用いたものや、機械紡績、機械織りで作った生地を含め、素朴な風合いのざっくり編まれた厚手の紡毛織物の総称になっていきます。

 

 

ツイードを生む羊

ブラックフェイスの親子

ヨーロッパ最大の羊毛産出国である英国の羊たちは、山岳地の山岳種、丘陵地の長毛光沢種、低地の短毛ダウン種といったように、生息地によって羊の品種や羊毛の性質は異なり、純粋種だけでも60種類以上に及ぶと言われている。

英国の羊は寒さの厳しい気候環境で飼育されるため、オーストラリアを代表するメリノ種等に比べると、繊維が太く、コシもあり、耐久性に富んでいる。また、白だけでなく、元来グレイや黒の毛を持つ羊もあり、独特の自然色も特性に挙げられる。

さらに、弾力性のある山岳種、上品な光沢の長毛光沢種など品種によっても特徴を備えている。

しかし、そのすべてが洋服のファブリック向きではない。

ツイードに使用される品種は約10種類前後に限られるため、希少性が高い。

有名なチェビオットツイードやシェットランドツイードのように、生息地の名前自体が一種のブランド化している羊もいるが、多くは英国産ウールとして一括りにされる。

例えば、スコットランド産羊毛の半数を占めるブラックフェイス種は、知名度の高いハリスツイードにも使われる品種。高級カーペットに使用されるほど丈夫で弾力性に富むため、ツイードにしてもコシが強い耐久性に優れたファブリックとなる。

さらに、一種類の羊毛では表現できない風合いを出すため、スコッチウイスキーのごとく、多彩な羊毛をブレンドしてツイードに仕上げることもある。

 

ツイードになる羊の種類

1 シェットランド

シェットランド種は、英国の羊の中で最も体長の小さな品種。
名前の由来は、スコットランドのはるか北方のシェットランド諸島に住む羊で、コケ類や灌木の葉などを食べ、補助資料は与えない。
海岸で海藻を食するユニークな生態も併せ持つ。
野生の羊が持っていた特徴を多く残している。
シェットランド種のウールの色合いは、白、ヒースの荒野のような赤、茶色がかったグレイ、淡い黄褐色、グレイや茶色というように、他の品種には見られないほど多岐にわたる。
この特徴は島のウール産業にとって商業的に重要な意味を持つ。
というのは、シェットランド島ではウールは染色せず、自然の色のままで使うことが多く、高品質のシェットランド・セーターとして製品化するからである。
シェットランドは英国やアイルランドの3大産地の一つで、そのほとんどがツイードやフェアアイルパターンのニットなどシェットランド島内の需要に充てられている。

 

2 チェビオット

チェビオット種は600年以上も前から英国で放牧されてきた英国純血の羊。
その名前はイングランドとスコットランドの境界にまたがるチェビオット丘陵に由来する。
現在スコットランド中に生息する。
チェビオットのウールは粗いものから細かいものまで変化に富み、長いタイプから短いタイプまで毛質はさまざまで、自然に備わった縮れと光沢がある。
山岳・丘陵種としては、最高品質のウールを持ち、ラグやブランケットにも使われている。
ツイードの原点といわれるツイード川流域の農民が原料に使ったことでも知られる。

ブラックフェイス種

3 ブラックフェイス

北アイルランド、スコットランド、ハイランドの山岳地に生息する、その名の通り、白い班のある黒い顔が特徴。
英国の羊種ではもっとも飼育数が多い。
羊毛の量が多く、太く硬質な触感。
弾力と復元力に富んだ20~30cmに及ぶ長い毛足を持つ。
ハリスツイードをはじめ、スコッチツイードのウールに採用される代表品種であり、アイリッシュツイードにも用いられるほか、カーペットやマットレスにも使われている。
かつてはスコットランド羊毛の半分以上、英国全体の8分の1を占めていたほどである。
ひつじのショーンはこのブラックフェイス種である。

ハードウィック種(ウィキペディアより掲載)

4 ハードウイック

原産地はスカンジナビアといわれているが、今日ではイングランド北西部山岳地帯の厳しい環境下に生息する。
補助飼料なしで育つ羊である。
羊毛は非常に丈夫で、年齢ごとに黒からシルバーグレーに変化する独特の羊毛という異なる自然色を生かし、染色しないでセーターやツイードなどに使用する。
太く丈夫な羊毛を持ち、弾力性・耐久性があり、また、防虫効果も備えている。
英国を代表する童話「ピーターラビット」は湖水地方を舞台にするが、その作家ビアトリクス・ポター女史はハードウイック種を愛好していて、自らもウィンダミア付近で純粋なハードウイック種を飼育していた。
いまではその土地と羊は英国政府の管理下になっている。

世界3大ツイード

3 シェットランドツイード

スコットランド北端にあるシェットランド島に生息する羊毛で織った「シェットランドツイード」はアルパカに近いスポンジのような柔らかい羊毛が特徴で、ノルウェー山岳種の羊毛を使うことで軽量で保湿性があり、ザックリとしたナチュラルな風合いが楽しめる。

ツイードの柄(パターン)

ファッションファブリックとして使われるツイードは、パターンで大きく印象が変わる。
スコットランド産やアイルランド産のツイードは、かつてヘザーミックスと呼ばれる天然素材で糸染めされていた。

これは、ヒースの花から採れた紫色を中心にシダ、エニシダ、ゼンマイ、ライケンなどのナチュラルな色合いをミックスした、天然色の温かみを感じるカラーである。

酷寒の気候を耐え抜いた羊から採れる上質なウールを、スコットランドの荒野にしか咲かない花から採れた天然色で染色し、その土地に生きる人々が自ら手で織り上げる。
こうした伝統のなかで育まれたからこそ、ツイード生地にはかくも深い温かみが感じられる。

現在は天然染料はすっかり成りを潜めてしまったが、色のミックスの基本は不変であり、いまでもクラシカルなスタイルの美しいパターンは時代を超えて継承されている。

ヘリンボーンパターン

1 ヘリンボーン

ツイードの代名詞とも言うべきパターンであり、山の形をした織り目がニシンの骨に似ていることから、ネーミングされた。
日本では「杉綾織り」とも呼ばれ、古典的なパターンの代表格で、コーディネートしやすく、ツイードハット、ツイードハンチング、ツイードジャケット、ツイードコート、ツイードパンツ、ツイードマフラーに至るまでよく目にする。

 

ウインドウペーンパターン

2 ウインドウペーン

窓枠のような大きさのスクエアを順序よく配列させたシンプルな一本格子柄を言う。
四角は4~5cm角の大きさがポピュラーで、写真のようにヘリンボーンと組み合わせたものもある。

ハウンドトゥースパターン

3 ハウンドトゥース

「ハウンドトゥース」は柄を構成する各ブロックが猟犬の牙のように鋭く尖っていることからこの名がついた。日本では千鳥に見立て「千鳥格子」と呼ばれる。
これも写真のように他の柄、ウインドウペーンと組み合わせられることもある。
上品な感じがするので、おしゃれな人が好む柄である。

シェファードチェックパターン

4 シェファードチェック

シェファードとは羊飼いのこと。
スコットランドの羊飼いが着ていたことからこのような名前がついた。
地色が白で黒を組み合わせたものが多い。
ハウンドトゥースに似ているが、尖った部分がない。

オーバーチェックパターン

5 オーバーチェック

いろいろなチェックを組み合わせた柄であり、美しいパターンである。
写真はハウンドトゥースにウインドウペーン、さらにカラーネップがあるので非常にきれいなパターンになっている。

上の美しい生地で作るとこんな素敵なツイードハンチングができます。

ツイードの帽子ブランド「HATMAN OF IRELAND」

「HATMAN OF IRELAND」(ハットマン オブ アイルランド)は、創業者である帽子職人のゲリー・モーラン氏により「自然が生み出したツイードという素晴らしい織物から美しい帽子を創る」というコンセプトで2003年に誕生したブランドです。

見ておわかりの通り、まず使用されている生地が素晴らしい。

「MAGEE」、「KERRY」等、アイルランド、英国の織物メーカーの高品質なウールツイードを使用しています。
もちろんすべて100%ウールです。
国内で市販されている化繊の混じったツイードとは比べ物になりません。

そのデザインも個性的で格好よいです。

例えば、私がこのブランドをはじめて知るきっかけとなった同ブランドイチ押しのツイード中折れハット「IRISH CRASHER」は、型押しではなく、中折れ部分を手作業により丁寧に縫い上げて作られています。

他にはない、美しいツイードのパッチワークのウオーキングハット、「IRISH WALKER」は被るだけで個性を表現できます。

ツイードハンチングキャップの「IRISH HUNTER PREMIER」シリーズのなかの「IRELANDER」はつばが長めなので、横から見たときの姿が格好よく、「DUBLINER」はバックストラップがおしゃれなアクセントになっています。

品質がよいということは、耐久性、長持ちにつながります。

帽子は安くて質の悪いものを選ぶのではなく、多少高くても長持ちして、飽きの来ない品質のよいものを選んだ方が長い目で見れば絶対にお得です。

そのような理由でツイードのハット・キャップを選ばれるのなら、「HATMAN OF IRELAND」のツイード帽子がオススメなのです。